WEB広告はインターネット上の広告で、ユーザーを特定のページへ誘導しコンバージョンを目指すものです。リアルタイムでの効果測定を通じ、ターゲットに合わせた広告が配信され、成果を最大化します。
この記事ではWEB広告の種類や媒体選定について解説しています。
WEB広告とは
WEB広告とは、インターネット上のメディアなどの媒体に掲載される広告です。ホームぺージや検索エンジンの検索結果ページ、SNSのタイムラインなどに掲載されます。
主な目的は、特定の商品やサービスを紹介して、広告を閲覧したユーザーを特定の「WEBぺージ」へ誘導して成果(コンバージョン)を獲得することです。
WEB広告は、上記の成果獲得のほかにも、ユーザーへのブランド認知拡大や興味歓喜、購買意欲の向上、そしてリピーターの獲得といった多種多様な目的に応じて出稿されます。
WEB広告のメリット
効果測定で改善ポイントを発見できる
WEB広告では、出稿した広告が、
- 表示された回数…表示回数
- クリックされた回数…クリック数
- 広告経由で成果につながった数…コンバージョン数
といったユーザーの反応をリアルタイムで収集することができます。そして収集したデータをもとに効果測定を行うことができます。
効果測定によって、広告効果の良し悪しを判断しながら改善を繰り返すことで、広告成果を最大化させることができます。
効果測定や改善施策によって広告効果は大きく左右します。そのためWEB広告は「運用型広告」とも言われ、状況に応じた調整が重要になります。
細やかなターゲティングで広告効果を高められる
WEB広告における最大のメリットは、配信ターゲットを細かく設定できるという点にあります。ターゲットを絞り込んで配信することで、より広告効果を高めることが可能になります。
ターゲティングは「人」と「面」の2種類に分けられます。
オーディエンス・ターゲティング :人
オーディエンスターゲティングは「人」を中心としたターゲティングです。
例えば、年齢や性別、居住エリアといった属性で絞り込んだり、ユーザーの趣味や関心といったWEB上の行動履歴をもとにしたデータ属性で絞り込んだりすることが可能です。
プレースメント・ターゲティング :面
プレースメントターゲティングは「面(配信面)」を中心としたターゲティングです。
例えば、広告を配信したいWEBぺージや動画、アプリなどを指定して配信することが可能です。
WEB広告の種類
リスティング広告
リスティング広告は、「検索連動型広告」と呼ばれ、検索エンジンに表示される広告です。日本国内で使われる検索エンジンは、主に以下の3つになります。
- Google https://www.google.co.jp/
- Yahoo! https://www.yahoo.co.jp/
- Bing https://www.bing.com/
リスティング広告は、これら検索エンジンにてユーザーが検索したキーワードをもとに、検索結果ページへ広告を表示する仕組みです。
検索エンジンを利用するユーザーは、悩みや課題が顕在化している場合が多く、自ら検索するという能動的な行動を取っています。
このような自ら能動的に行動する、購買確度の高いユーザーに対して広告を配信することができるという点がリスティング広告の特徴になります。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は、WEBぺージやアプリ内にある「広告枠」に表示される広告を指します。テキストだけでなく、画像や動画といった視覚的な訴求力が強い広告です。
ディスプレイ広告は、ユーザーが閲覧しているWEBぺージやアプリに広告を配信するため、ユーザーは、情報収集など別の主目的があって動いている状態です。そこに広告が表示されるわけですから、ユーザーは受動的に広告を受け入れる形になります。
イメージとしてはテレビCMです。
- 主目的:テレビ番組を見る
- 受動的:番組の途中にCMが流れる
このように、商品やサービスを明確に求めていない潜在的なユーザーへアプローチする広告です。視覚的に訴求力が強いため認知拡大に貢献できるという点がディスプレイ広告の特徴になります。
ディスプレイ広告が配信される「広告枠」は後述する「アドネットワーク」や「DSP」が抱えるものになります。
アドネットワーク
アドネットワークとは、WEBぺージやアプリ内にある「広告枠」を束ねているネットワークを指します。
代表的なアドネットワークには、以下の2つがあります。
- Googleディスプレイネットワーク
- Yahoo!ディスプレイアドネットワーク
上記のアドネットワークへの配信を行うには、Google広告・Yahoo!広告それぞれが持つディスプレイ広告を使用する必要があります。
アドネットワークは、複数の広告枠を束ねた「ネットワーク」であるという点がポイントです。広告枠が「面」で確保できるというのが特徴になります。
DSP
DSPとは、Demand Side Platformの略称で、広告効果を最適化する広告主のためのツールを指します。
代表的なDSPには、以下があります
- Logicad https://www.logicad.com/
- Criteo https://www.criteo.com/jp/
- Amazon DSP https://advertising.amazon.com/
DSPはDMP(=Data Manegement Platform)という大量のデータを収集・統合しているデータベースと連携しています。
DMPには性別や年代、嗜好、行動履歴などのユーザー情報が蓄積されており、細かくセグメント(区分、グルーピング)されています。このセグメント情報を元に広告配信ができるというのがDSPになります。
DSPは、複数のアドネットワークに広告を配信できる「ツール」であるという点がポイントです。広告枠が「人」で確保できるというのが特徴になります。
SNS広告
SNS広告は、Facebook・Instagram・X(旧Twitter)・LINEといったSNSに表示される広告を指します。
- Meta広告(Facebook・Instagram)https://www.facebook.com/business/ads
- X https://business.x.com/
- LINE https://admanager.line.biz/
ユーザーが日常的に使用しているSNSへ広告を配信するため、ディスプレイ広告同様に主目的が別にあり、ユーザーは受動的に広告を受け入れる形となり、潜在的なユーザーへアプローチする広告です。
SNS広告は、各媒体のタイムラインやストーリーズなどに溶け込んでいるため、ユーザーに受け入れられやすいという特徴があります。
ネイティブ広告
ネイティブ広告とは、WEBメディアや記事に溶け込むように表示されている広告です。一見すると広告に見えないというのが特徴です。
このように広告であると気づかれにくいため、ユーザーにストレスを感じさせずにクリックを誘発することができます。
前述のSNS広告などはタイムラインに広告が溶け込んでいるなど、ネイティブ広告の好例と言えます。他にも、記事メディアなどでは「記事と記事の間」に広告が挟まれていることが見受けられるので見つけやすいでしょう。
アフィリエイト広告
アフィリエイト広告とは成果報酬型広告と呼ばれます。つまり「成果」に対して報酬を払う広告ということです。
アフィリエイターと呼ばれる情報発信者たちが、自身が持つホームぺージやブログ、SNSなどで広告を掲載します。彼らが掲載した広告経由で成果が発生した場合に、報酬を支払うというのが特徴です。
広告主とアフィリエイターの間にはASP(=Affiliate Service Provider)と呼ばれる橋渡し役がいます。全体の流れは以下のようになります。
- 広告主はASPに出稿を依頼します。
- ASPはアフィリエイターに広告の掲載を依頼します。
- アフィリエイターが掲載した広告から成果が発生したら、
- 広告主はASPに報酬を支払い、ASPはアフィリエイターに報酬を支払います。
アフィリエイト広告は成果報酬型であるため、広告予算を組みやすく、成果が発生した場合に費用が発生するため、広告の投資対効果が高いというのがポイントです。
※成果に対する報酬以外に、ASPの初期費用や利用料がかかる場合があります。
リワード広告
リワード広告とは、ユーザーが特定の行動をすることで報酬(リワード)を得る広告を指します。
例えば、以下のような行動に対して、広告主はユーザーへ報酬を与えます。
特定の行動 | 報酬 |
アプリのインストール | アプリ内で使えるアイテム |
アンケートへの回答 | クーポン・ポイント |
動画の視聴完了 | 視聴者限定の特典 |
リワード広告は、アプリのインストールで利用されることが多く、インストール数の増加によるランキング上昇など二次的な効果を得ることができます。短期的な認知拡大に有効ですが、ユーザーの継続率が低くくなるという課題も生まれます。
前述の「成果報酬型」と言われるアフィリエイト広告は「掲載→(成果の)発生→報酬」という流れで、リワード広告は「(行動の)発生→報酬」という流れになりますので、アフィリエイト広告の中にリワード広告の概念が用いられていると位置づけられます。
メール広告
メール広告とは、電子メールで送信される広告を指します。主にメールマガジン(メルマガ)として配信されます。
メール広告には「テキスト形式」「HTML形式」の2種類があり、HTML形式での配信は、メール内に画像や動画、イラストを差し込んだり、文字の装飾ができるなどデザイン性の高い表現が可能です。
メール広告を配信するには、見込み客や顧客の情報(メールアドレス)が必要になります。自社で実施する場合は、まずはメルマガの登録や顧客リストの作成から始めましょう。
またメール広告は「あらかじめ同意した者にのみ配信する」と法律により定められています。メール広告を配信したい場合は、必ず規約に配信する旨を記載し、ユーザーの情報入力時に同意を得ることが必須です。
いわゆる迷惑メール対策については、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(以下「特定電子メール法」といいます。)により、原則としてあらかじめ同意した者に対してのみ広告宣伝メールの送信が認められる「オプトイン方式」が導入されています。引用:総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」
動画広告
動画広告は、主にYoutubeやTiktokといったSNSで表示される広告を指します。テキストや静止画だけでは表現できない情報やストーリーを届けることができます。
動画広告の特徴は、一度に伝えられる情報量の多さにあります。「動き」のある情報に加え、「音」という情報まで含まれます。
広告出稿時には、広告費に加えて、広告素材を制作する必要があります。コストがかかってしまうため、少額予算では、十分な効果が期待できない可能性があります。
純広告
純広告とは、掲載期間や掲載箇所が設定さている広告を指します。特定のWEBぺージにある「広告枠」を買い取って、広告を掲載する仕組みです。
掲載先への訪問者数やぺージ内容との関連度、または掲載位置によって広告効果が大きく変わるのが特徴です。
純広告は、ポータルサイト(あらゆるサイトやぺージへの入り口となるようなサイト)に見受けられます。代表的なポータルサイトであるYahoo!では「Yahoo!ブランドパネル」というサービスを提供しています。
リターゲティング広告
リターゲティング広告とは、一度WEBサイトに訪問したユーザーに対して広告を配信できる手法です。「追っかけ広告」「追跡型広告」とも呼ばれます。
例えば、過去に自社サイトに1度でも訪れたことがあるというユーザーは、自社の商品やサービスに関心を頂いている可能性が高いと考えられます。
このようなユーザーに対して、後を追いかけるように広告を配信することで、「買い忘れ防止」や「リピート購入」を促すことができる、という点がリターゲティング広告の特徴です。
「リターゲティング」に似た言葉で「リマーケティング」という言葉がありますが、これらは同義です。リターゲティングはYahoo!が、リマーケティングはGoogleによる呼称です。いずれも意味合いは同じになります。
WEB広告の課金方式
代表的なWEB広告には、以下のような課金方式があります。課金形式や媒体により費用相場が大きく異なるため、事前に広告媒体のガイドラインを確認することを推奨いたします。
課金方式 | 略称 | 内容 |
クリック課金 (Cost Per Click) | CPC | 広告がクリックされるごとに課金 |
インプレッション課金 (Cost Per Mile) | CPM | 広告が1,000回表示されるごとに課金 |
インストール課金 (Cost Per Install) | CPI | アプリがインストールされるごとに課金 |
エンゲージメント課金 (Cost Per Engagement) | CPE | SNS上のエンゲージメントに対して課金 |
視聴課金 (Cost Per View) | CPV | 動画が視聴されるごとに課金 |
期間保証型課金 (Cost Per Day) | CPD | 広告の掲載期間ごとに課金 |
WEB広告の選び方
WEB広告は種類が豊富で、課金方式もさまざまなため、「どのWEB広告を選べばいいのかわからない」という経営者や担当者は少なくありません。そこで、WEB広告を選ぶときのポイントとして、上記の2点を軸に選ぶ方法をご紹介します。
- ターゲットが利用する媒体を選ぶ
- 広告の目的から選ぶ
記事冒頭の「WEB広告とは」で記載しておりますが、WEB広告の目的は、広告を閲覧したユーザーを特定のWEBぺージへ誘導して成果をあげることです。成果をあげるためには、適切な媒体を選ぶ必要があります。
ターゲットが利用する媒体を選ぶ
媒体選定において重要なポイントの1つ目は、自社のターゲットが利用している媒体を選ぶことです。媒体ごとに特性があり、利用する目的も様々です。
各媒体が公開している以下のような媒体資料を見ていくと、利用者の年齢層や性別、時間帯などの情報を見ることができます。
- Yahoo! https://www.lycbiz.com/
- LINE https://www.lycbiz.com/
そして、自社の広告が媒体の中で、どのようなタイミングでターゲットに表示されると効果を発揮するかを考えていくと、選ぶべき媒体を見つけることができます。
広告の目的から選ぶ
WEB広告の媒体選定において重要なポイントの2つ目は、広告では何をゴールとするのか。つまり広告を出稿する「目的」を明確にし、目的を達成しやすい媒体を選ぶということです。
例えば、ディスプレイ広告は「潜在層」へのアプローチが得意な媒体です。ターゲット自身も商品やサービスの必要性を理解していない可能性がある場合は、このような潜在層にリーチできる広告媒体を選定します。
まずはターゲットに認知してもらうということを目的とし、広告の表示回数やサイトへの訪問数を指標とすると良いでしょう。
一方、リスティング広告は、ターゲットが検索しているキーワードに対して広告を配信することができるので、「顕在層」へのリーチが可能です。商品・サービスの購入や資料請求、お問い合わせを目的達成の指標とすると良いでしょう。
まとめ
WEB広告は、インターネット上の様々なメディアで見られる広告で、ユーザーを特定のWEBページへ誘導し、コンバージョンを促すことが主な目的です。
広告はホームページ、検索エンジン、SNSなどに表示され、ターゲティングによって特定のオーディエンスに配信されます。効果測定はリアルタイムで行われ、表示回数、クリック数、コンバージョン数などのデータが集計され、広告の成果を最大化するための改善が行われます。
主な広告形式にはリスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告、ネイティブ広告、アフィリエイト広告、リワード広告などがあり、各々が特定のシチュエーションや目的に合わせて用いられます。
また、広告の課金方法はクリック課金、インプレッション課金、インストール課金などが存在し、広告の選択はターゲットの利用媒体や広告の目的に基づいて検討されるべきです。