WEBマーケティングに取り組む中で「ユーザーエクスペリエンス(UX)」や「ユーザーインターフェース(UI)」という言葉を聞くことがあるかと思います。
しかし具体的に両者はどう違うのか、それぞれどんな意味があるのかについて分かっていないという方は少なくありません。
そこでこの記事では、UXとUIの違いから、ウェブサイトにおけるUXの重要性について解説しています。
UXとUIの違いとは?
UXとは?
UXとは「ユーザーエクスペリエンス(user experience)」の略で、WEBにおけるUXは、ユーザーがウェブサイトやアプリを使用時の「体験」のすべてを指します。これには、どれだけサイトが使いやすいか、どれだけ情報が見つけやすいか、そして快適に使用できるかどうかが含まれます。
例えば、ネットショップで買い物をする時に、目当ての商品がスグに見つかり、注文完了までのプロセスがスムーズであれば、良いUXと言えるでしょう。サイト設計時にユーザーのニーズに対応するため、構造設計し、ユーザーが期待する結果を簡単に得られるようにすることが重要です。
UIとは?
UIとは「ユーザーインターフェース(user interface)」の略で、WEBにおけるUIは、ユーザーがウェブサイトやアプリをどのように操作するか、具体的な接点の「デザイン」を指します。
UIは、主に視覚的な要素に焦点を当ています。ボタン、テキスト、画像、カラー、レイアウトなどが含まれます。ユーザーがサイトを直感的に理解しやすく、効率的に誘導できるように設計します。魅力な見た目にすることはもちろんですが、それ以上に「操作のしやすさ」を最適化することが重要です。
UXとUIの関係性
インターネット(WEB)の世界では、UXとUIは密接に関連していますが、それぞれ独立した役割を持っています。
UX | UI |
ユーザーエクスペリエンス | ユーザーインターフェース |
UIの結果、ユーザーがどのような感情を抱くか、どのような体験をするかに焦点を当てている。 | ウェブサイトやアプリがどのように見えるか、またはどのように操作されるかに焦点を当てている。 |
魅力的なUIは、ユーザーに良い印象を与え、関心を引きつけることができますが、UXはそれを超えて、ユーザーがサイトを使い続けたくなるような全体的な満足を追求します。
例えば、どんなにおしゃれなウェブサイトを作っても、ページの読み込みが遅かったり、必要な情報が見つけにくかったりすると、UXは著しく低下します。つまり、高品質なユーザー体験(UX)を提供するには、優れたUIデザインと効果的な機能実装が必要になるのです。
UXが求められる理由とは?
WEBの利用時間が増えた
現代ではスマートフォンやパソコンだけでなく、タブレットやテレビといった多様なデバイスからインターネットにアクセスすることが一般的になりました。それに伴って人々がWEBに触れる機会が格段に増えました。
そのため、様々な背景を持つユーザーがウェブサイトを利用するようになり、彼ら全員にとって使いやすいUIを提供することが重要になりました。例えば、年配の方から若者まで幅広い年齢層が使うECサイトでは、大きめの文字やシンプルなナビゲーション、明確なボタンが求められます。
このように、WEBに触れる機会が増えたことで、多様なユーザーに適応したUXの提供が求められるようになりました。良いUXデザインは、ユーザーがデバイスや場所を選ばずに快適にサイトを利用できるようサポートして、それが全体のユーザー体験の質の向上に貢献します。
ユーザー満足度の向上
ユーザーがウェブサイトを使っていて感じる快適さや満足感は、そのサイトへ再度訪問する意欲に影響を与えます。例えば、ECサイトでの買い物がスムーズに行えれば、顧客はストレスを感じることなく欲しい商品を手に入れることができ、その結果、良い買い物体験を持つことができます。
逆に、使いにくいサイトでは商品を見つけるのも一苦労で、購入するまでのプロセスが複雑であれば、イライラしてそのサイトを離れてしまうかもしれません。
つまり良いUXは、ユーザーがサイトを使いやすいと感じさせ、それが直接的に顧客の満足につながるということです。そして、満足した顧客は再びそのサイトを訪れる可能性が高くなり、中長期的な顧客関係を築くことにつながるのです。
顧客接点
ウェブサイトは多くの場合、顧客が企業と接触する最初のポイントです。そのため、ウェブサイトのUXは、企業と顧客との関係構築のスタートラインとも言えます。
ウェブサイトを通じて提供されるユーザー体験(UX)が良ければ、顧客はその企業に好印象を持ち、信頼を深めるきっかけになります。逆に、使いにくいウェブサイトは顧客のストレスを与え、企業への印象を悪影響を及ぼしかねません。
例えば、カスタマーサポートへの問い合わせ方法が簡単に見つかるウェブサイトや、顧客からの頻繁に受ける質問(よくある質問)などのコンテンツは、サイトを訪れたユーザーに安心感を与えることができます。
このように、良いUXは顧客との良好な関係を築くための重要な要素であり、企業のブランド価値向上の一助となります。
UX向上のために注視すべきこと
ゴールを明確にする
UXを向上させるためには、まずウェブサイトにおいて「何を達成したいのか」、つまりゴールを明確に設定することが重要です。
例えば、あなたがECサイトを運営している場合、そのゴールは「商品の売上を増やすこと」になることが多いでしょう。そして、このゴールをもとにウェブサイトを設計することで、訪問者が商品を購入しやすいようなページデザインや購入プロセスを考えることができます。
ゴールが明確であればあるほど、どのようにサイトを改善すべきか、何に焦点を当てるべきかがはっきりとし、効果的な改善策を打ち出すことが可能になります。
ターゲットをより具体的にする
ウェブサイトのUXを向上させるには、「誰のためのサイトなのか」を明確にすることも非常に重要です。
ターゲット、つまりウェブサイトを利用する主なユーザー層を具体的に定義することで、そのユーザーのニーズや行動パターンに合わせたデザインが可能になります。
例えば、若者をターゲットにしたファッションサイトでは、トレンドを押さえ、視覚的に魅力的なデザインを心がけ、SNSやECモールとの連携を積極的に行う必要があるかもしれません。一方、シニア層をターゲットにした健康商品のサイトでは、読みやすいフォントサイズやシンプルなナビゲーションを重視することが求められます。
このように、自社の商品やサービスの顧客、つまりターゲットをより具体的にすることで、彼らにとって最も使いやすいサイト作りを行うことができます。
データの収集・分析をする
UXを向上させるためには、データの収集と分析が欠かせません。ユーザーがウェブサイト上でどのように振る舞っているかを理解することで、問題点を発見し、改善策を講じることができます。
データ収集には、Google Analytics4のようなツールを使用して、訪問者の行動を追跡します。これにより、どのページが人気であるか、どのページでユーザーがサイトを離れてしまうかなどが分かります。
さらに、ユーザーがページ内でクリックする場所を可視化するMicrosoft Clarityのようなヒートマップツールも有効です。これらのデータを基に分析を行い、ユーザーがサイト内で迷わず、目的を達成できるような設計に改善していくことが、UX向上の鍵となります。
まとめ
UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、ウェブサイトやアプリを使用する際のユーザーの全体的な体験を指します。この体験には、サイトの使いやすさ、情報の見つけやすさ、使用時の快適さが含まれます。
UIはサイトの視覚的な要素と操作性に焦点を当て、ユーザーが直感的に理解しやすくすることが目的です。
ウェブサイトの世界では、UIはウェブサイトの見た目や操作方法を整える役割を持ち、UXはその結果としてのユーザーの感情や体験に焦点を当てます。
良いUIはユーザーに良い第一印象を与え、サイトを使い続ける動機を提供しますが、全体的なユーザー体験(UX)はそれを超え、継続的な満足感を提供することが重要です。